歴代3社長辞任、社風リスク

 不正会計問題に揺れる東芝が、社長、副会長、相談役の歴代3社長の辞任を発表した、とネットニュースが号外で報じていました。

 

 自分は同社のことは知りませんが、やはり損失隠し不正で一時は上場廃止の危機に追い込まれた企業グループに身を置いていた者としては、他人事に思えません。東芝で不正会計問題を調査した第三者委員会は「上司の意向に逆らうことができない企業風土が存在した」と報告書で述べたそうです。

 

 企業風土(社風)は、新卒で入社してずっとその会社に在籍している生え抜きの、とりわけエリートの人たちはそれが当たり前と思って問題に気づかないから、とてもやっかいなリスクです。

 

 自分もその企業グループでは、ご本社再上場に向けての改善活動のお手伝いもさせていただいたのですが、生え抜きの人たちの言動/アクションには、あれれ、と思わされることがありました。

 

 改善活動レポートには、ご本社の社長が直筆でコメントをお書きになるのですが、ちょっとイレギュラーなルートでフォロー活動を進めるように、とのご指示が出たのです。活動のフローを社長が十分理解されてなかったのだな、とすぐ分かりましたので、自分は正規のルートで正しくフォローして行くべきと思ったのですが、生え抜きの責任者からは、社長からの指示だから、イレギュラーでもここはこのルートで進めるように、ときついお達しが飛んできました。偉い人の指示はそれが間違っていても指摘せず、とにかく言われたとおり、そのままにやってしまおうとする風土があるのです。


 また、改善活動に非協力的な部門に手を焼いたことがあったのですが(上に盲従するほど、他者には厳しく当たる)、そのとき、生え抜きのメンバーから「お前のところのボスは、元はあそこの部門(=非協力的な部門)のトップだったから、元ボスからひとこと言ってもらえば、すぐ言うこと聞くよ」との親切心でのアドバイス。でも、異動で指揮命令系統が変化したら、いくらお世話になった元ボスだったとしても、その指示に今も従うものだと考えるのは、とても変です。

 

 もちろん、元ボスの方を尊敬はするし、リスペクトはするでしょう、だからといって元ボスからの横やり指示が効力を持ってしまう風土では、まともな組織とは言えません。そういえば、損失隠しを最初に始めた時の元社長さん(時効で罪には問われず)、相談役として役員室に陣取り、睨みをきかせておられました。

 

 上からの指示に無批判に従っていると、不祥事が発覚しても、悪いのは指示した方で、それに従わざるを得なかった立場の自分は悪くなかったと感じるようになります。自分がいたその企業グループでも、悪いのは一握りの人間、大多数の社員に罪はなくて、むしろ被害者なんだ、という空気でした。

 

 再上場に向けては、数多くの改善策を実行し、いろんなルールや仕組みが構築されました。でも、企業風土は歴史のある大きな会社であればあるほど、変えることがむずかしいものです。それは、中枢にいる生え抜きのエリートたちの自己否定になってしまうから。

 

 社風リスクを抑える妙案はありません。日本の労働市場がもっと流動的であれば、新卒採用しても雇用は最長40歳までとして、マネージャー、ダイレクタークラスは外部の血を強制的に注入するようなこともできるでしょうが。

 

 

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